「電気設計」という仕事、聞いたことはあっても、具体的に何をしているかイメージできる方は少ないかもしれません。
実は電気設計には 3つの世界があり、それぞれ違うスキルが求められます。
この記事では、電気設計エンジニアの仕事を、未経験の方にも分かるように解説します。
この記事で分かること
- 電気設計の3つの分野(強電・弱電・制御)
- 具体的な仕事の流れ
- 必要なスキル・資格
- 年収レンジ
- 未経験から目指す3つのルート
結論:電気設計は「電気の流れを設計する」仕事
最初に結論をお伝えします。
電気設計エンジニアは、製品や設備に流れる電気の流れを設計する仕事です。
扱う「電気」の種類によって、3つの分野に分かれます。
| 分野 | 扱う電気 | 例 |
|---|---|---|
| 強電(強い電気) | 大電力(数百〜数万ボルト) | 受変電設備、配電盤、大型モーター |
| 弱電(弱い電気) | 小電力(数〜数十ボルト) | センサー、通信回路、計測機器 |
| 制御(コントロール) | 機械を動かすための信号 | PLC、シーケンス制御、産業用ロボット |
→ どの分野に進むかで、必要なスキルもキャリアも変わります。
電気設計の3つの分野
分野①:強電設計(受変電・配電・モーター)
強電とは、家庭・工場・ビルで使われる大きな電力のことです。
仕事内容
- 工場や建物の受変電設備(電力会社からの電気を施設用に変換する設備)の設計
- 配電盤・分電盤の設計
- 大型モーターの制御回路設計
- 太陽光・風力など再生可能エネルギーの系統設計
関わる業界
- 電力・エネルギー
- ビル設備
- 工場の電力インフラ
- 産業機械
分野②:弱電設計(電子回路・通信)
弱電は、電子機器の中で扱われる小さな電気です。
仕事内容
- 製品の中の電子回路の設計
- センサー回路の設計
- 通信回路(Wi-Fi、Bluetooth、LANなど)の設計
- 計測・分析機器の回路
関わる業界
- 家電・スマホ
- 自動車(車載電子機器)
- 半導体・電子部品
- 医療機器
分野③:制御設計(PLC・シーケンス)
制御は、機械を「自動で動かす」ための仕組み作り。
仕事内容
- PLC(工場の機械を制御する小型コンピューター)のプログラム作成
- シーケンス制御(決められた手順で機械を動かす技術)の設計
- 産業用ロボットの動作プログラム
- 工場全体の自動化システム設計
関わる業界
- 産業機械
- 自動車工場
- 食品工場
- 物流(倉庫の自動化)
電気設計の仕事の流れ
電気設計の典型的な仕事の流れは以下の通りです。
ステップ①:要件のヒアリング
お客さん・社内設計部門から「何を実現したいか」をヒアリング。
例:「この工場で100kWのモーターを安定稼働させたい」
ステップ②:基本設計
要件をもとに、全体の構成を決める。
- 必要な機器の選定(モーター、配電盤、ブレーカーなど)
- 全体の電気回路の設計
ステップ③:詳細設計(CAD図面作成)
基本設計を、実際に施工できるレベルの詳細図面に落とし込む。
- 配線図、結線図、レイアウト図
- 部品リスト(BOM=Bill of Materials)
CADソフト:AutoCAD、E3.series、CR-8000 など
ステップ④:強度・安全性の検証
- 電気的な計算(電流値、電圧降下、熱計算)
- 安全規格への適合確認
ステップ⑤:製作・据付立会い・試運転
- 工場で機器が組み立てられる過程に立ち会う
- 現場で据付・試運転に立ち会い、問題があれば調整
ステップ⑥:引き渡し・トラブル対応
- お客さんに使用方法を説明
- 後日不具合があれば対応
必要なスキル・知識
技術スキル
| スキル | 重要度 | 内容 |
|---|---|---|
| 電気回路の基礎 | ◎ | オームの法則、キルヒホッフの法則など |
| CAD(製図ソフト) | ◎ | AutoCAD、E3.series、CR-8000 など |
| 電気機器の知識 | ○ | モーター、変圧器、ブレーカーなど |
| PLC・シーケンス(制御の場合) | ◯ | 三菱電機、オムロン、キーエンスなどのPLC |
| JIS規格・電気設備技術基準 | ○ | 電気設計に関する各種規格 |
関連資格(強み)
- 電気工事士(第二種・第一種):電気工事の基礎資格
- 電気主任技術者(第三種〜第一種):受変電設備の保安監督ができる
- エネルギー管理士:工場の省エネを担当できる
- 電気通信主任技術者:通信系の場合
これらの資格は取得していると評価が高く、手当の対象になる会社も多いです。
年収レンジ
経験別の年収目安
| 段階 | 経験年数 | 年収レンジ(傾向) |
|---|---|---|
| 未経験スタート | 0-1年 | 350〜450万円 |
| 担当業務に慣れる | 1-3年 | 400〜550万円 |
| 主担当 | 3-7年 | 500〜700万円 |
| シニア・リーダー | 7-15年 | 600〜850万円 |
| 主任・課長クラス | 15年以上 | 750〜1,000万円超 |
※業界・企業規模・地域で変動します。詳細は製造業の年収完全マップもご参照ください。
業界別の傾向
- 半導体・自動車:相場より高め
- 重工・産業機械:標準的
- 電力・エネルギー:手堅い水準
- 中堅メーカー:規模に応じた水準
未経験から目指す3つのルート
ルート①:エンジニアリング派遣会社経由(最も現実的)
派遣会社の正社員として、メーカーの電気設計部門に配属されるルート。
主な派遣会社(五十音順):
- オープンアップグループ
- スタッフサービス・エンジニアリング
- テクノサービス
- 日研トータルソーシング
- メイテック
- リクルートR&Dスタッフィング ほか
メリット:
- 給与をもらいながら学べる
- 入社時研修でCADや電気の基礎を学べる
- 大手の現場で実務経験を積める
ルート②:電気工事士からのキャリアアップ
電気工事の現場経験者は、電気設計へのキャリアチェンジが現実的です。
- 現場の感覚を持ったまま設計に入れる
- 第二種電気工事士からスタートして第一種へ
- 設計補助 → 担当 → 主担当の流れ
ルート③:直接入社(中堅メーカー)
中堅・中小の電気機器メーカーは、未経験OK求人を出すことがあります。
- 入社後にOJTで学べる環境
- 1人で多くの工程を経験できる
- ただし求人数は限定的
電気設計に向いている人
向いている人の特徴
- 論理的に考えるのが好き:電気は数式と論理の世界
- 細かい作業が苦にならない:図面の正確性が重要
- トラブルシューティングが好き:原因を追って解決するのが好き
- モノを作るプロセスが好き
あまり向かないかもしれない人
- 直感的に判断したい人
- 細かい作業が苦手な人
- 1人で集中する作業が苦手な人
キャリアパスの広がり
電気設計エンジニアの経験を積むと、次のキャリアが開けます:
縦の専門化
- 電気設計担当 → 主任 → 課長 → 部長
横の展開
- 生産技術(電気設備全般)への移行
- 設備保全(電気設備の維持管理)
- 電気工事の施工管理(工事現場側へ)
- カスタマーサポート・営業技術
業界転換
- 産業機械 → 自動車
- 工場設備 → ビル設備
- 強電 → 制御 など分野横断
よくある質問(FAQ)
Q1. 文系出身でも電気設計になれますか?
A. 可能です。電気設計は数学・物理の基礎が必要ですが、業務の中で学んでいくこともできます。文系出身者でも、電気工事士の資格を取りながら現場経験を積み、設計にステップアップする方は多くいます。
Q2. 機械設計と電気設計、どちらを選べば?
A. 興味の方向で決めるのが基本です。
- 「機械の動き」が好きなら機械設計
- 「目に見えない電気の流れ」が好きなら電気設計
製造業全体としては、両方できる「機電エンジニア」も評価されます。
Q3. 30代未経験でも目指せますか?
A. 可能性は十分にあります。前職経験(営業、製造現場、IT、電気工事など)が活きるルートもあります。派遣会社の研修制度を使うのが現実的です。
Q4. 残業は多いですか?
A. プロジェクトの納期前は残業が増える傾向ですが、平常時は比較的落ち着いています。会社・配属先で大きく異なります。
Q5. 自宅でも勉強できますか?
A. 無料で学べる教材が充実しています。
- YouTube(電気設計のチャンネル)
- 電気工事士の試験対策本
- 無料のCADソフト(FreeCADなど)
入社前に基礎を学んでおくと、入社後のキャッチアップが早くなります。
まとめ
- 電気設計は 強電・弱電・制御 の3分野に分かれる
- 仕事の流れは 要件ヒアリング → 設計 → 検証 → 施工立会い → 引き渡し
- 必要なスキルは 電気回路の基礎 + CAD + 電気機器の知識
- 年収レンジは 未経験350万円〜・主任クラス750万円超(傾向)
- 未経験からは 派遣/電気工事士から/中堅メーカー直接入社 の3ルート
- 資格(電気工事士・電気主任技術者)が評価される
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