20代・30代でキャリアに迷っている人へ。「永守重信」って名前、聞いたことありますか?1973年、28歳のときに社員3人と京都のプレハブ小屋で創業した会社が、50年後に世界中のスマホ・パソコン・EVを動かす世界一のモーター企業になった——それが「ニデック(旧日本電産)」の歴史です。M&A60社超、世界10万人の社員、グループ200社超。日本の製造業で「ニッチから世界一」のリアルケースを学ぶなら、この会社の50年が一番濃い。
結論:京都のプレハブから世界一になった50年
ニデック株式会社は、精密小型モーター世界シェアでトップを維持し続ける企業。HDD用モーター、車載モーター、産業向けモーターまで領域を広げてきた。創業から50年、M&Aを連発する積極経営で世界に拠点を広げた。創業者・永守重信は2025年末に代表取締役を辞任し、2026年初めにニデックの役職から完全に退いて、現在は承継局面で揺れているけど、50年で築いた事業基盤の重みは消えない。20代エンジニアにとって、ニデックの歴史は「自分の20代と30代をどう使うか」を考えるリアルなケーススタディです。
精密小型モーターって何?
パソコンのハードディスクドライブ、スマートフォンの振動装置、エアコンのファン、自動車のパワーウィンドウ——身の回りのあらゆる機械を回す小さな電動機。1台に何十個も使われる製品が多くて、「縁の下の力持ち」として世界中の家電・IT機器を支えてる。表に名前は出ないけど、無くなれば現代社会の機器の大半が動かなくなる。
永守重信、28歳のスタート
1944年生まれ、職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)電気工学科を卒業後、ティアック等を経て、1973年7月、28歳で日本電産を創業。社員は永守を含めて4人。京都の自宅プレハブ小屋からのスタート。「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」という有名な言葉は、この創業期の姿勢から生まれた。
転機は1979年、米国の3M社から大量の小型モーター受注を獲得したこと。スケールメリットを手に入れ、その後の躍進の足場ができた。20代の終わりに会社を立ち上げ、30代でアメリカ大企業から受注を取ったというのが、永守の最初の10年。
ニデックは何で世界一になったのか
1. HDDモーターで「最初の山」を取った
1980年代、パソコン市場の急成長と同時に、パソコンに必要なハードディスク(HDD)の中身を回すスピンドルモーターに集中した。米国IBMからの大量受注をきっかけに世界シェアを伸ばし、ほぼ独占状態まで持ち込んだ。HDDモーターは精度・耐久性・低騒音の全部が要求される激ムズ部品。競合の参入が進みにくい領域でシェアを取って、安定キャッシュを確保した。
2. M&A60社超を実行
ニデックの歴史はM&Aの歴史。国内外で60社超を買収・統合して、HDDモーターから車載モーター、産業用モーター、家電用モーターまで領域を広げた。永守の「買った会社の社員を一人も切らない」M&A方針は、経営学のケーススタディとして世界中で有名。買収先のリストラじゃなく、買収先の技術と人を使って事業を拡張する発想で、海外では「Nidec Way」として知られてます。
3. EV駆動モーターへの大転換
2010年代後半から、永守は「EVの駆動用モーターで世界一になる」と宣言して、E-Axle(駆動モーター・インバーター・減速機を一体化したユニット)の量産に踏み込んだ。中国・大連に大型工場を建設し、EVメーカー各社へ供給。スマホやHDDが成熟した今、車載モーターを次の柱として打ち出してる。20代エンジニアがEVキャリアを考えるなら、ニデックは絶対に視野に入る選択肢。
20代エンジニアにとってのニデックの意味
ニデックは「現場で叩き上げる」文化が極めて強い会社。「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」「知的ハードワーキング」が永守の口癖だった。長時間労働への批判もあったから、近年は働き方改革に取り組んでる。
モーター技術者・設備保全エンジニア・生産技術者にとって、ニデックグループは選択肢が異常に多い。京都本社、滋賀・大阪・福井の国内拠点に加え、世界中のグループ会社で経験を積める。グループ全体で従業員10万人超、国内外に200以上の関連会社がある。EV時代に向けて、車載モーターを設計・量産できる人材は今後も引く手あまた。
2023年モーター業界シェア——ニデックが13.9%
2023年のモーター業界の世界シェアではニデックが13.9%を占めてます。これはモーター単独メーカーとしては圧倒的な水準で、特に小型精密モーターでは長期にわたって世界一。20代でこの領域に飛び込めば、世界市場の規模で仕事ができる。
承継局面の今——揺れる老舗、それでも基盤は本物
2025年以降、ニデックは不適切会計疑惑をめぐる調査で揺れた。永守は2025年12月に代表取締役を辞任し、2026年2月にはニデックから完全に退いた。50年間トップに君臨した創業者からの承継という、日本の同族・カリスマ経営の共通課題に直面してる。ただし、世界中に張り巡らされたモーター事業の基盤は揺らがない。EV化が進む自動車業界、データセンター用モーター需要、ロボット用モーター需要は今後も拡大する。経営の安定化が実現すれば、事業基盤は次の10年を支える力を持ってる。20代がここに乗ると、「カリスマ後の組織」を内側から見られる稀有な経験になります。
キャリアの視点でニデックから学べる3つのこと
製造業エンジニアがニデックの50年から学べることは3つ。
- ニッチから始めて世界一を取れるという事実
- 技術と経営は両輪で、技術者でも経営判断を学ぶ意義があること
- 創業者依存のリスクと組織化の重要性
日本の中小製造業がこの先「ニデックのように世界一を目指す」のか「家業として続ける」のかの分かれ目で、ニデックの50年は学びの宝庫。20代がキャリアの最初に学んでおく価値があります。
京都のプレハブで4人で始まったモーター屋が、世界中のEVを動かすまでに50年かかった。次の50年を作るのは、現場の若手だ。
京都ベース——独自経営文化の集積地
ニデックの本社は京都市南区。京都には任天堂、村田製作所、京セラ、堀場製作所、オムロンなど、独自の経営文化を持つ製造業が集積してる。「京都企業」と呼ばれるこれらの会社は、東京の大企業とは違う人事制度・経営判断・株主対応で知られる。20代エンジニアにとって、京都に拠点を移してキャリアを積むという選択肢は意外と魅力的。文化的なアイデンティティが社員のロイヤリティに繋がる地域は、日本でも限られてます。
EV戦略——「家電のときと同じパターン」
ニデックがE-Axleに進出した背景には、EV化が10年以内に急加速するという読み。E-Axleは中国EVメーカーへの供給で先行したけど、品質問題や価格競争の激化で苦戦する局面もあった。それでも永守は「家電のときも同じだった。最後は規模とコストで勝つ」と公言して、長期投資を続けてきた。2026年現在、車載モーター市場はテスラ系、ニデック、デンソー、独ボッシュ、独ZFなどが競う構図。日本の自動車業界全体がEV化に向かう中で、ニデックのE-Axleがどこまでシェアを取れるかは、日本の製造業の競争力を測る指標の一つです。
承継後のニデックは「経営チーム体制」へ
永守の代表取締役辞任後、ニデックは「永守一人体制」から「経営チーム体制」への移行を進める。生え抜きの幹部、海外子会社から登用された経営者、外部招聘の人材——多様な背景の経営層が、創業者の代わりに会社を動かしていくフェーズ。20代エンジニアにとって、「会社の体制変化」がキャリア選択にどう影響するかは、入社・転職を考える際に注視すべきポイント。
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