工場で最初に取る資格、5つに絞りました。費用・日数・受験資格を公式サイトで調べた話

製造業キャリア・職種

コンビニの棚に飲み物が並ぶまでに、それを箱ごと持ち上げて運んでいる人がいます。その運転席に座るには2日から5日の講習が要ります。この記事では工場や倉庫で名前が出てくる講習・試験を5つだけ選び、費用・日数・受けられる条件を実施団体の公式サイトで確認しました(確認日はすべて2026年9月11日です)。

「資格があったほうがいい」と言われても、どれのことか分からない

工場の求人には「資格取得支援あり」「有資格者優遇」という言葉がやたらと出てきます。でも、どの資格のことなのかは書いていない。検索すると何十個も出てきて、値段も載っていない。結局よく分からないまま閉じる——という話を20代の方からよく聞きます。

そこで「未経験でも受けられて」「工場・倉庫の求人票に実際に出てくる」という2条件で5つに絞りました。なお「取れば年収が上がります」という話は出てきません(後半でその理由を書きます)。

先に結論:この5つです

資格 実施しているところ 日数・試験の形 費用(公式サイトに載っていた例) 受けられる人
フォークリフト運転技能講習 都道府県労働局の登録を受けた教習機関 35時間(4〜5日)。普通免許があれば31時間 コマツ教習所 神奈川センタ:35時間60,000円/31時間55,000円(税込・テキスト代込) 教習機関が満18歳以上としています
玉掛け技能講習 同上 19時間(3日)。クレーン運転士免許などがあれば15時間 同センタ:19時間33,000円/茨城労働基準協会連合会:20,130円+テキスト1,680円(税込) 18歳未満はこの業務に就けません(労働基準法)
危険物取扱者 乙種第4類 一般財団法人 消防試験研究センター 筆記35問・2時間 受験5,300円(非課税)+免状交付2,900円 受験資格なし。どなたでも
第二種電気工事士 一般財団法人 電気技術者試験センター 学科+技能の2段階。年2回 11,100円(ネット申込)/12,500円(書面)※令和8年度・非課税 受験資格なし。どなたでも
機械保全技能検定 3級 公益社団法人 日本プラントメンテナンス協会 学科と実技を同じ日に。年2回 学科・実技の両方で23歳未満の在職者12,300円/23歳以上20,000円 実務経験0年でかまいません

数字はすべて公式サイトに載っていたものです。講習の受講料は教習機関ごとに違うため、「相場はいくら」とは書いていません。

1つずつ見ていきます

フォークリフト運転技能講習|工場・倉庫でいちばん名前を見る

倉庫で荷物をフォークで持ち上げて運ぶ、あの車です。求人票の「フォークリフト免許歓迎」はたいていこれです。

最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転は「就業制限」(=資格がない人をその作業に就かせてはいけない決まり)の対象で、技能講習を修了した人でないと就けません(労働安全衛生法第61条、同法施行令第20条第11号)。1トン未満はより短い「特別教育」で足ります(労働安全衛生規則第36条第5号)。求人で求められるのはほぼ前者です。

技能講習とは、法律で決まった時間ぶんの講義と実技を受けて修了試験を受ける仕組みのこと。時間数は国の告示(フオークリフト運転技能講習規程)で決まっていて、学科11時間+実技24時間で合計35時間です。面白いのはここからで、持っている免許で科目が免除されます。普通自動車免許などがあれば学科4時間が免除され、残りは31時間。教習機関のコース名が「11H」「31H」と分かれているのはこのためです。

費用は教習機関ごとに違います。コマツ教習所の料金表では、神奈川センタが35時間(5日)60,000円・31時間(4日)55,000円、近畿センタが同56,000円・47,000円(税込、テキスト代込み)。同じ会社でも場所で違うので、通える範囲のサイトを見るのが確実です。

玉掛け技能講習|クレーンで吊るとき、荷物にワイヤーをかける役

クレーンで荷物を吊るとき、フックにワイヤーをかけ外しする作業を「玉掛け」といいます。クレーンを操作する人とは別の役割です。条文は「つり上げ荷重が1トン以上のクレーン、移動式クレーン若しくはデリックの玉掛けの業務」(労働安全衛生法施行令第20条第16号)。間違えやすいのですが、基準は吊る荷物の重さではなくクレーン側の能力です。軽い物を吊るときでも、クレーンの能力が1トン以上ならこの資格が要ります。

時間数は玉掛け技能講習規程で学科12時間+実技7時間=19時間。クレーン・デリック運転士免許などがあれば15時間です。費用はコマツ教習所 神奈川センタが19時間(3日)33,000円、茨城労働基準協会連合会が20,130円+テキスト代1,680円(いずれも税込)。テキスト代が込みか別かも機関ごとに違います。

危険物取扱者 乙種第4類|受験資格がなく、いちばん始めやすい

「乙4(おつよん)」と呼ばれる試験です。実施は一般財団法人 消防試験研究センター。第4類は引火性液体のことで、公式サイトには「ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物油類等」とあります。同センターは「化学工場、ガソリンスタンド、石油貯蔵タンク、タンクローリー等の施設には…必ず危険物取扱者を置かなければいけません」と説明しています。

  • 受験資格:「乙種及び丙種:受験資格は必要ありません。どなたでも受験できます」(公式サイト原文)
  • 受験手数料:5,300円(非課税)、合格後の免状交付が2,900円
  • 試験:法令15問/物理・化学10問/性質と消火の方法10問の計35問、乙種は2時間。合格は「試験科目ごとの成績が、それぞれ60%以上」
  • 合格率:令和7年度(令和7年4月〜令和8年3月)の乙種第4類は受験222,545人・合格71,059人で31.9%

3人に1人です。受験資格がないぶん準備なしで受ける人も多いので、勉強した人が受かる試験だと考えておくのが現実的です。

第二種電気工事士|手を動かす試験がある

一般家庭や小規模な店舗・工場の電気工事を行うための国家資格です。実施は一般財団法人 電気技術者試験センター。特徴は学科試験と技能試験の2段階であること。技能試験は工具で実際に配線をつくる試験で、出題候補問題が事前に公表されています。練習量がそのまま効くタイプです。

  • 受験資格:「受験に対して制限や条件はございません。どなたでも受験ができます」(令和8年度受験案内)
  • 受験手数料(令和8年度):インターネット申込11,100円/書面申込12,500円(非課税)。ネットのほうが1,400円安く済みます
  • 結果(令和8年度 上期):学科は受験78,290人・合格48,692人で62.2%、技能は受験58,393人・合格42,875人で73.4%

両方を通した「最終的な合格率」は公表されていないため、段階ごとの数字だけを載せました。なお2026年9月11日時点で令和8年度の申込は終了しています。受けるなら次年度の日程発表をご確認ください。

機械保全技能検定 3級|実務経験ゼロで受けられる国家検定

機械を直す・止めないようにする「保全」の検定です。国の技能検定の1つで、機械保全は厚生労働大臣が指定した試験機関である公益社団法人 日本プラントメンテナンス協会が実施しています。未経験の方に効くのは、3級は実務経験が要らない点です。公式サイトの受検資格は1級「7年以上」、2級「2年以上」に対し、3級は「0年(問わない)」。対象は「機械保全に関する業務に従事している者および従事しようとしている者」で、これから就く人も含まれます。

受検手数料は学科・実技の両方で、23歳未満の在職者12,300円/23歳未満で学生でも在職者でもない方16,200円/23歳以上の一般20,000円(年齢は4月1日時点で判定)。年齢で額が変わる珍しい試験です。2026年度 第2回の3級(機械系保全作業)は学科・実技とも2027年1月10日(日)と公表されています。

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お金の話:自分で全部払うとは限りません

特別教育について国は、労働安全衛生法「第59条第3項の特別の教育ないし第60条の職長教育を企業外で行なう場合の講習会費、講習旅費等についても…事業者が負担すべきもの」と通達で示しています(昭和47年9月18日 基発第602号)。「安全衛生教育の実施に要する時間は労働時間と解される」とも書かれています。

ただしこの通達が挙げているのは特別教育と職長教育であって、技能講習ではありません。技能講習の費用を会社が出すかは会社の方針次第です。求人票の「資格取得支援あり」が何を指すのかは、面接で聞いてよい質問だと思います。

自分で払う場合に使える公的な仕組みも挙げておきます。

  • ハロートレーニング(公共職業訓練・求職者支援訓練):厚生労働省の説明では受講料は「無料(テキスト代等は自己負担)」
  • 一般教育訓練給付金:「教育訓練経費の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給されます」。対象は厚生労働大臣が指定した講座の費用で、受験料そのものは対象外。雇用保険の加入期間などの条件もあります
  • 人材開発支援助成金:これは会社が受け取るもので、個人がもらう制度ではありません

「資格手当」は、法律で決まっているものではありません

資格手当の有無も金額も、会社が決めるものです。厚生労働省のモデル就業規則には「技能・資格手当」の条文(第34条)がありますが、金額欄は「月額   円」と空欄で、解説にはこう書かれています。

どのような手当を設けるか、また、設けた諸手当の金額をいくらにするかについては、各事業場で決めることになります。

つまり「フォークリフトを取れば月○円」という全国共通のルールは存在しません。知りたい場合は、求人票の「諸手当」欄を見るか面接で直接聞くのがいちばん早いです。

よくある質問

未経験でも本当に受けられますか

乙種第4類と第二種電気工事士は、公式サイトに「受験資格は必要ありません」と明記されています。機械保全技能検定3級も実務経験は「0年(問わない)」。フォークリフトと玉掛けの技能講習は、教習機関が満18歳以上としているほかに実務経験は求められていません。

どれから手をつけるのが現実的ですか

「今すぐ働きながら取れるか」で順番が見えます。日程が全国で頻繁に組まれ受験資格もない乙種第4類は始めやすい試験です。一方、フォークリフトのようにまとまった平日4〜5日が要るものは会社の協力が要ります。

資格を取れば給料は上がりますか

上がる会社もあれば、そうでない会社もあります、というのが正確な答えです。資格手当は会社ごとの規定だからです。ただ、フォークリフトや玉掛けのように資格がないとその作業に就けないと法律で決まっているものは、応募できる求人の数そのものが変わります。金額より先に、選べる範囲が広がるという効き方です。

「自分の場合はどれから取るのが早いんだろう」と思われたなら、いま考えていることをそのまま聞かせてください。求人を紹介する前に、どの順番なら無理がないかを一緒に整理するところからお付き合いします。

※費用・日程・合格率は2026年9月11日に各実施団体・教習機関の公式サイトで確認しました。申し込み前に必ず最新の公式情報をご確認ください。

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