ノーベル賞の会社と「おもしろおかしく」の会社が京都に並んでる——島津製作所と堀場製作所、20代が知らない計測機器の世界

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20代・30代でキャリアに迷っているあなたへ。「計測機器」と聞いてワクワクする人は少ないと思います。でも、病気の早期発見も、車の排ガス検査も、半導体工場の品質管理も、京都の2つの会社の機械がなければ止まる。地味に見えて、実は世界が依存している産業の話です。

結論:京都には「世界が測るのを任せている」会社が2つある

1つ目は島津製作所。1875年創業、社員からノーベル化学賞受賞者(田中耕一さん、2002年)を出した分析計測機器の名門です。

2つ目は堀場製作所。エンジン排ガス計測装置で世界シェア約8割。世界中の自動車メーカーが、堀場の機械で排ガスを測ってクルマを売っています。

島津製作所は今どれくらい強いの?

主力の計測機器事業は、売上高が9期連続で過去最高を更新中(2026年3月期第3四半期決算説明資料)。液体クロマトグラフや質量分析システムといった分析装置が、医薬・臨床・環境分野で売れ続けています。

横文字が並びましたが、要するに「物質に何が含まれているかを正確に測る機械」。新薬の開発も食品の安全検査も、この機械なしには成立しません。

堀場製作所の「おもしろおかしく」って何?

堀場製作所の社是は「おもしろおかしく」。ふざけているわけではなく、「仕事を面白くできる人が一番強い」という創業者・堀場雅夫さんの哲学です。

近年は半導体製造装置に欠かせない計測・制御機器の供給元として存在感を増しています(日本経済新聞)。2025年12月には中核研究拠点「京都福知山テクノロジーセンター」を増設・本格稼働させ、攻めの投資を続けています。

年収はどれくらい?

島津製作所の平均年収は約901万円(2025年3月期有価証券報告書、平均年齢43.6歳)。京都本社の企業として高水準です。

計測機器業界は「景気が悪くても検査や分析は止められない」ため、業績が安定しやすいのが特徴。給与の安定性に直結します。

どんな仕事があるの?文系・未経験は無理?

計測機器メーカーの仕事は研究開発だけではありません。装置の組立・調整、品質検査、据付やメンテナンスを担うフィールドエンジニア、営業技術——人と機械の間に立つ仕事が大量にあります。

未経験から狙うなら、まず製造現場や保全の経験を2〜3年積み、計測・分析機器の保守サービス会社へ移るルートが現実的。装置は売った後のメンテナンスが必ず発生するので、サービス人材は常に必要とされています。

将来性は?なぜ「測る」仕事はなくならないのか

半導体、医薬、環境規制、EV——どの分野が伸びても、必ず「測る」需要が増えます。製品の性能が上がるほど、より精密な計測が必要になるからです。

つまり計測機器は「他の産業が成長すると一緒に伸びる」ポジション。特定の業界に運命を預けない働き方ができるのは、20代のキャリア戦略として大きな強みです。

なぜ京都から世界一が生まれるのか?

京都の老舗メーカーには「他社の真似をせず、自分の領域で一番になる」文化があるとよく言われます。島津も堀場も、派手な消費者向け製品ではなく、計測という土台を選んで世界を取りました。

東京の大企業だけがキャリアの正解ではない。京都で世界一、という選択肢は実在します。

世界中の「正確さ」は、京都の2社が支えている。

サラリーマンがノーベル賞を取った会社、って知ってた?

島津製作所の田中耕一さんは、博士号を持たない企業エンジニアとして2002年にノーベル化学賞を受賞しました。タンパク質を壊さずに質量分析する手法の開発が評価されたものです。

「現場のエンジニアが世界を変える発見をできる」ことを証明した出来事として、いまも語り継がれています。研究者だけでなく、ものづくりの実務者に光が当たった受賞でした。

島津は1875年創業。仏具職人の家に生まれた初代・島津源蔵が理化学器械の製造から始めた会社で、150年にわたり「科学技術で社会に貢献する」を社是としてきました。

計測機器の仕事は、実際どんな1日になる?

たとえばフィールドエンジニアなら、病院や製薬会社の研究室を訪問して分析装置の据付・点検・修理を行います。装置が止まれば検査や研究が止まるため、感謝されることが多い仕事です。

工場側なら、精密部品の組立や校正(機械の測定値を正確に合わせる作業)が中心。ミクロン単位の精度を扱うため、手先の確かさと丁寧さがそのまま評価につながります。

共通するのは「正確さが商品」だということ。派手さはないですが、技術が積み上がる実感を持ちやすい職種です。

よくある質問(Q&A)

Q. 理系出身じゃないと働けませんか?

A. 製造・組立・検査や、装置の保守サービス、営業職は文系・未経験からの入口があります。装置の知識は入社後に研修で身につけるのが一般的です。

Q. 勤務地は京都だけですか?

A. 本社は京都ですが、両社とも全国に営業・サービス拠点があり、海外拠点も多数あります。装置が売れた場所すべてが仕事場になるのが計測機器業界です。

Q. 景気が悪くなったら危なくないですか?

A. 計測・分析は法規制や品質保証と結びついた「止められない需要」が多く、製造業の中でも業績が安定しやすい分野です。島津の計測機器事業が9期連続で過去最高売上を更新しているのはその証拠です。

次の10年の主戦場は「半導体×計測」?

日経の報道が指摘する通り、堀場製作所や島津製作所は半導体製造を支える「黒子」として存在感を増しています。半導体工場では、ガスや薬液、水の純度をリアルタイムで精密に管理する必要があり、そこに京都の計測技術が入り込んでいます。

半導体は微細化が進むほど、不純物の許容量が厳しくなります。つまり半導体が進化すればするほど、計測機器の需要と要求精度が上がる構造です。

自動車の排ガス計測で世界を取った堀場が、次は半導体の計測で伸びる。「測る技術」は産業の主役が変わっても食いっぱぐれない、という実例がリアルタイムで進行しています。

Q. 製造業経験3年の20代後半です。計測機器業界に移るなら何から始めるべきですか?

A. 今の現場で品質検査・測定器の取り扱い経験を意識的に積むことです。測定器の校正や品質記録の運用経験は、計測機器メーカーやその保守サービス会社への転職で直接アピールできます。

Q. 島津と堀場、社風は違うんですか?

A. 公開情報から見える範囲では、島津は1875年創業の老舗らしい「科学技術で社会貢献」の堅実な文化、堀場は「おもしろおかしく」を掲げるベンチャー気質で知られます。同じ京都の計測機器でも個性は対照的なので、両方を比較して受けるのがおすすめです。

150年続く会社は「変わり続けた会社」だった

島津製作所は1875年の創業以来、教育用理化学器械から医療用X線装置、分析計測、航空機器まで、時代に合わせて事業の主役を入れ替えてきました。長寿企業の正体は「同じことを続けた会社」ではなく「変わり続けた会社」です。

一方の堀場製作所は1945年、堀場雅夫さんが学生時代に立ち上げた研究所が原点で、「日本初の学生ベンチャー」と紹介されることもある会社。老舗とベンチャー、出自の違う2社が同じ京都で世界トップ級の計測技術を競っています。

会社選びでは「今何を作っているか」だけでなく「環境が変わったとき、変われた実績があるか」を見る——京都の2社は、その視点を学ぶのに最適な教材です。

まとめ:京都の計測機器2社、20代が押さえるべきポイント

  • 島津製作所:計測機器売上9期連続過去最高、平均年収約901万円
  • 堀場製作所:エンジン排ガス計測装置で世界シェア約8割、半導体分野で存在感拡大中
  • 2025年12月に堀場は新研究拠点・京都福知山テクノロジーセンターを本格稼働
  • 「測る」需要は半導体・医薬・環境とともに構造的に拡大する
  • 未経験は保守サービス・製造職からの入口が現実的

就職人気ランキングには出てこなくても、世界が頼っている会社は京都に実在します。知名度ではなく構造で会社を選ぶ——それができる20代は強いです。

最後にもう一つ。計測機器業界は製品が長く使われるため、顧客との関係も10年、20年と続きます。売って終わりの仕事ではなく、信頼を積み上げる仕事です。転職を「リセット」ではなく「積み上げ」にしたい人にこそ、向いている業界だと思います。気になったら、まず両社の採用サイトと有価証券報告書を15分だけ眺めてみてください。

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